受給事例
- 関節リウマチ 40代女性
- 初診は10年程前、手・足関節の痛みやこわばりを自覚、その後痛みは徐々に広がっていき、ここ数年は傷みがひどく我慢できないで、仕事(事務職)も続けることができない状況でした。
3年前に障害者手帳を取得、その時にも障害年金の請求を検討したが、役所の窓口で受給は難しいのではと言われ請求をあきらめました。
ご主人からのご依頼でした。初診時より10年以上経過しており、当時の通院履歴や通院時期に不明な点があり、病院への確認や手続きを進めていくうえで思い出せたことや、当時の資料が出てきたこともあり厚生年金での請求が可能になりました。
家庭内でも生活動作や歩行、階段の上り下り等に制限があり、生活上の不便さがしっかり反映されるよう主治医に診断書を依頼しました。結果、障害厚生年金2級で受給決定。
- 慢性関節リウマチ 60代女性
- 10年以上前に指が腫れてきたため受診。内服による治療を受けてきたが、多発関節痛が進行し、両上肢が不自由になりまた足にも障害が発生して階段の上り下りも不可能となった。
今回のご相談では初診日から1年6ヶ月の認定日には障害等級に該当していなかったため、事後重症による請求のお手続きとなりました。
この方は厚生年金加入中の発病受診であり、かなり前から障害等級に該当する状態であったと思われますが、ご本人様が障害年金の制度についてよく知らなかったため、ずっと障害年金の請求をされていませんでした。事後重症の場合は請求月の翌月からの支給となるため、できる限り早く提出する必要があります。
結果、障害厚生年金2級の受給が決定しました。
- 関節リウマチで障害年金を受給するために
関節リウマチで障害年金を請求する場合は「肢体の診断書」(様式第120号の3)を使います。
「肢体の診断書」では、上肢、下肢における関節の可動域や関節の変形具合、筋力、日常生活や就労時における動作、行動の状態等を総合的に判断していきます。
関節リウマチの症状は上下肢の広範囲にわたる場合が多いため、4種類の肢体の障害のうち「肢体の機能の障害」に該当するケースがほとんどです。
令別表 障害の程度 障 害 の 状 態 国年令別表 1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする
病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、
日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの国年令別表 2級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする
病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、
日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい
制限を加えることを必要とする程度のもの厚年令別表 3級 身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に
著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残す
もの
肢体の機能の障害 認定基準の詳細はコチラ(NPO 障害年金支援ネットワークHP)
肢体の障害用 診断書はコチラ(厚生労働省HP)
関節リウマチの場合、痛みのために日常生活動作に支障が出るケース
が多いですが、痛みは認定の対象となりません。
関節リウマチによる機能障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考
慮し総合的に判断されます。
日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することはできませんが、お
おむね次の動作が障害の程度を判断する項目とされています。
つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
タオルを絞る(水を切れる程度)
ひもを結ぶ
さじで食事をする
顔を洗う(顔に手のひらをつける)
用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
用便の処置をする(尻のところに手をやる)
上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
ズボンの着脱(どのような姿勢でもよい)
靴下を履く(どのような姿勢でもよい)
片足で立つ
座る(正座、横すわり、あぐら、脚なげだし:このような動作を維持する)
深くおじぎ(最敬礼)をする
歩く(屋内)
歩く(屋外)
立ち上がる
階段を上る
階段を下りる
「一人でうまくできる」「一人でできてもやや不自由」「一人でできるが非常に不自由
」「一人で全くできない」で各項目を医師が評価し診断書に記載します。
上記日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」または上記動作のほ
とんどが「一人でできてもやや不自由な場合」には3級になる可能性があります。
労働については「傷病のためにフルタイムの勤務に耐えられない、軽度の仕事(事務仕
事等)しかできない等労働に一定の制限がある旨診断書に記載してもらう必要がありま
す。
なお、関節リウマチで請求する際の注意点は以下の通りです。
初期症状で接骨院で施術を受けた日は初診日とは認められません。あくまでも関節リウマチで初めて病院を受診した日が初診日となります。
また、生物学的製剤 を使用していない方、日常生活が自立して送れている方は受給できない可能性が高いです。
以上、関節リウマチで障害年金請求を考えられておられる方は、受診した際に主治医に日常生活の様子をこまめに伝えておく必要があります。職場で受けている配慮や欠勤した際の状況等、積極的にコミュニケーションを取り、日常生活や職場での困難な状況をしっかりと医師と共有しておく必要があります。
そうすればいざ診断書作成となった際に、作成依頼書に添付するご本人による日常生活状況申立書とカルテの記載内容とに整合性が取れ、より納得感のある診断書の作成が可能となってきます。