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認定調書の見方


 障害年金請求をした結果、不支給の場合は、「国民年金・厚生年金保険の支給しない理由のお知らせ(不支給決定通知書)」が届きます。不支給決定通知書と一緒に同封された「決定の理由」と記載された書類に不支給の理由がざっくりと示されていますが、より詳細な理由をしるために障害状態認定調書を入手する必要があります。
 もちろん、2級だと確信して請求を行った結果3級と判定されたような場合にでも、どのような理由で決定されたのかその経緯を知るため障害状態認定調書の開示を求めていきます。

認定調書サンプル

①「現症日」
 サンプルの場合は認定日請求のため、診断書は障害認定日と請求日の2枚提出となります。障害認定日及び請求日現症の日付です。

 

②-1「目安」
 診断書の「日常生活能力判定」及び「日常生活能力の程度」を数値化し、「精神障害に係る等級判定ガイドライン」の等級の目安を使い「等級目安確認シート」を作成し、該当する障害等級が記入されます。

精神障害に係る等級判定ガイドライン

等級目安確認シート

 

②-2 事前確認
 日本年金機構の職員が「事前確認票」を作成します。等級目安確認シート右下の「日常生活能力の程度」で該当する等級を「事前確認票」の左側に記入します。さらに、診断書や病歴・就労状況等申立書の内容から、「事前確認票」へ等級判定材料となる情報をピックアップし、チェックをしていきます。
 抜き出した情報をもとに再度障害等級の判定を行います。目安確認シートでは2級であったものが、右欄「事前確認」では3級に○をされている場合もあります。その際には等級判定において考慮すべき要素及び根拠が記載されます(中央部分)。
  *考慮すべき要素については後述


事前確認票

 


③「S]
 セカンド。複数(2名)の認定医により審査されたことを表しています。

 

④障害の等級


⑤適用する認定基準
 障害年金認定基準第8節-2認定要領-A(08A


⑥特に考慮した事項の番号


 考慮すべき要素-6
 「気分(感情)障害については、現在の症状だけでなく、症状の経過(病相期間、頻度、発病時からの状況、最近1年程度の症状の変動状況など)及びそれによる日常生活活動等の状態や予後の見通しを考慮する。 」

 

⑦具体的な等級判定理由、不支給・却下とした理由
不支給となった場合、2級該当を3級と判定された場合等の理由が記載されます。
 例:⑩イ ⑪ カルテから○○○○あり 等
   ⑩、⑪は診断書(精神の障害用 様式第120号の4)の記載項目です。

 

 

  

 審査請求の趣旨及び理由

 ①趣旨
  審査請求を行う上で求めていくない内容を記入します。
 例:「裁定請求日において障害基礎年金2級を認定すること」
 「障害認定日及び裁定請求日において障害厚生年金の受給権を認めること」

 

 ②理由
 開示請求で入手した認定調書等をもとに、処分内容がどのような根拠のもとに下されたかを推測し、それに対する反論を考えていきます。
 例えば、2級相当のものが不支給となった場合、
「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(3)総合評価-①には「 診断書の記載内容に基づき個別の事案に即して総合的に評価した結果、目安と異なる等級になることもあり得るが、その場合は、合理的かつ明確な理由をもって判定する。」と定められています。認定調書の⑦等に記載された内容をもとに、不支給と判定した理由に合理的かつ明確な根拠があるのかを考えます。

 障害認定基準、精神の障害に係る等級判定ガイドラインそして過去の社会保険審査会での採決例等を元に理論構成していきます。診断書や病歴・就労状況等申立書などに記載された事実を法令、ガイドラインにあてはめ保険者の主張の矛
盾、解釈の間違い、不備を突いていきます。

 残念ながら、年金事務所での相談で具体的なアドバイスをもらうことはできません。請求者一人一人で全く事情が異なってくるため一般論では対処しようがないからです。

 ご相談者の中には、「診断書の内容が軽く書かれていたので、改めて主治医に診断書を修正をさせた。これを提出すれば受給できるか」とのお問い合わせをいただくことが有ります。
 しかしながら、よほどのことがないかぎり診断書の修正、補正は認められないと考えた方がいいでしょう。 

 原処分を受け審査官の決定書の内容を知った後に、医師が請求人の要請に基づいて作成された診断書等については、当時の診療録等の客観的資料に基づいて作成された診断書とは認められません。患者に泣きつかれて修正、補正したものを後から提出しても認めないということです。

 

 

これから請求をされる皆様へ

 

①とりあえず自分で請求をしてダメなら不服申し立てをする。
②支援機関のサポートを受けて、年金事務所とも相談の上で手続きを進める。
③社会保険労務士に依頼する。

①②の場合
・診断書の不備を見極め、理由、根拠を示したうえで医師に修正させることがで きるか。
⇒もちろん、ごり押しでするのではなく、記載要領等をもとに記載時の留意事項 等を説明したうえで修正していただく必要があります。)
・年金事務所での説明、病歴・就労状況等申立書作成時において、情報の取捨選択をしっかりと行えるかどうか。
⇒不必要な情報まで相談、もしくは申立書に記入するとその内容が後々まで尾を引く可能性があります。
・支援機関等でサポートしてもらう際に、不支給となった場合、不服申し立て迄サポートをしてくれるか。
⇒とりあえず年金事務所で言われたとおりに書類を作成して提出をし、不支給となったら「もう無理です」では話になりません。

 障害年金を専門に扱っている社会保険労務士であれば、不服申し立ても当然ながら取り扱っています(全員とはいいませんが)。審査請求等を行うことで、保険者が診断書やカルテそして申立書のどのような点を問題としてくるのかおおよそ検討がつきます。

 先にも述べましたが、不備な診断書を提出すると、その後不服申立をしても決定が覆ることはありません。後出しジャンケンで請求時に提出した診断書を、審査請求の段階で別のものと差し替え、認められる等ということは非常に稀です。

 要は、最初の請求が一番肝心だということです。”ダメなら不服申し立て”という発想は非常にリスクが高いです。
 受給権は最初の1回目でしっかりと勝ち取る(語弊はありますが、実際、勝負所は初回請求時です)ことが重要です。
 保険者がチェックをするポイントを見極め、医師への診断書作成を依頼し、障害の状態・程度及び日常生活状況等矛盾の無いように申立書を作成していく必要があります。

 以上、不服申し立ては請求時の数倍労力と知識が必要となります。請求時の手順についてはネットでいくらでも情報が公開されていますが、審査請求、再審査請求についてはそのような制度があるというレベルで、実際どのようにすべきかという情報はどこを探して見つかりません。
 依頼を受けた社会保険労務士は請求者の個々の状況を見極め、数日から数週間かけて審査請求書類を仕上げていきます。個々の事例を取り上げネットに情報を上げたところで、当事者以外には全く意味のない情報、知識となります(考え方は参考になりますが)。また、個人情報の絡みもあり具体的な情報入手は困難です。

*現時点で入手可能かどうかは不明ですが、
 下記書籍は事例掲載が豊富で非常に役立ちます。

  「障害年金 審査請求・再審査請求」(日本法令) 

 

 なお、NPO法人 障害年金支援ネットワークでは全国の社会保険労務士をご紹介しております。
 審査請求をする方が良いのか、した場合の受給の可能性、さらに再請求について等、無料相談を行っておりますのでお気軽にお問い合わせください。
(社会保険労務士の利用を無理強いされるようなことは一切ありませんのでご安心ください


↓↓↓大阪、奈良等一部地域を除き出張相談可能です。



2025年02月11日

社会的治癒を主張する場合


 本来、障害年金の初診日は「障害または死亡の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日」をいいます。同一の病気やけがで転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日が初診日となります。
 また、過去の傷病が治癒し、同一の傷病で再度発症(再発)した場合は、「再発し医師等の診療を受けた日」になります。

 社会的治癒とは、医学的には治癒していない場合に、社会保険上、被保険者が不利益を受けないための考えだされた概念です。




 社会的治癒について法令上の明確な定義はありませんが、いくつかの裁決例で以下のように述べられています。

 社会保険の運用上、傷病が医学的には治癒に至っていない場合でも、予防的医療を除き、その傷病について医療を行う必要がなくなり、相当の期間、通常の勤務に服している場合には、「社会的治癒」を認め、治癒と同様に扱い、再度新たな傷病を発病したものとして取り扱うことが許されるものとされており、当審査会もこれを是認している(以下省略)
      引用:平成26年(厚)第892号 平成27年9月30日裁決

 

 医学的には治癒していなくても、社会生活を問題なく過ごせていた期間が一定以上あることが客観的に認められれば、一旦は治癒したとものとして以前と同じ疾患が再び生じても新たな傷病を発病したものとみなすという考え方です。

 基本的に社会的治癒は請求者の利益を守るための概念です。本人が何も主張しなければ、原則どおりの初診日が障害年金の初診日になります。
障害年金請求において以下のような場合、社会的治癒を主張するメリットがあります。

  • 従来の初診日では受給要件を満たすことができなかった場合
     ⇒社会的治癒を主張することで納付要件をクリアできることがある。
  • 従来の初診日では国民年金加入だった場合
     ⇒社会的治癒を主張することで初診日を厚生年金加入期間に設定できる。
  • 初診日がかなり前にあってカルテ等が廃棄されており、証明することが難しい場合
     ⇒社会的治癒を主張することで初診日証明が可能となる。

 

では、社会的治癒が認められる条件とは何か?
残念ながら、社会的治癒が認められる条件は明示されていません。
ただし、今までの判例等の積み重ねによって、以下の3条件が必要だと言われています。

病気などの治療を行う必要がない状態になったことを証明
 医学的な治療を行わず安定した社会生活を送ることができ、薬等も飲んでいない状態が続いていることを証明。(病気などの経過観察や予防に関するケアを医師の判断のもとで行っている場合は、社会的治癒と認められる可能性があります)。


一定期間、社会生活を問題なく行うことができていたことを証明
 就労、家事等問題なく行われており、社会生活に支障をきたしていない状態が一定期間(概ね5年以上)続いていたことを証明。また、外見上において自身も他者も、病気などが回復したと見て取れる状態であることが重要です


社会的治癒を主張するための必要書類について

医師の診断書
 医師に診断書を書いてもらう際に、過去に病気などの治療をしていけれども、それが寛解し、治療を行わないでもよい期間が続いたことなどを明確に記載してもらう必要があります。

給与明細
 就労が一定期間継続しており、意欲的に働いた結果として昇給・賞与の支給があったことを証明。
 厚生年金ではなく、国民年金だった場合、自営で仕事していた証明、所得証明、留学・資格取得等の証明などの根拠を出す必要があります。

その他、旅行に行った際の写真、草野球等で楽しくプレーしている写真等を収集し添付して提出することも可能です。



 

 以上、概要を説明いたしましたが、実務的には社会的治癒の証明は困難なケースが多いです。
 第三者から見ても寛解し、問題なく社会生活が遅れている状態であること数々の書類を揃え証明できるかがポイントです。
 初診証明ができず、ただ単に自己判断で受診を辞め、5年経過したから社会的治癒を主張してみる、で認められる可能性は低いです。
 特に就労していない場合、または就労していてもバイト程度であった場合は社会生活が問題なく過ごせているとはされないことが多いです。

 社会的治癒は請求者本人を救済するための精度ですが、自力で書類を揃えたり、診断書作成のポイントを医師に説明することは非常に難しいのも事実です。一度障害年金を専門に取り扱っている社会保険労務士に相談してみることをおすすめ致します。





2025年01月22日

本人死亡後の障害年金請求


本人死亡後でも以下の要件を満たす場合、障害認定日請求(未支給年金としての請求)は可能です。
 なお、死亡後は認定日請求のみで事後重症請求はできません。
*年金の請求は未支給年金を除いて本人しかできないことから、未支給年金請求という形で障害年金の請求を行います。

① 初診日に国民年金または厚生年金に加入していること
② 初診日の前日において、前々月までの保険料を全被保険者期間の3分の2以上納付してい ること。
※初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満の場合、初診日の前日において、前々月までの直近1年間に保険料の未納がない。
③ 障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日)において、障害等級に該当していること。
 障害認定日から3ヶ月以内に受診があり、かつ、カルテが残っているか。
 請求人死亡から5年以内か(死亡後の請求の時効が5年のため)。

以下の場合は請求できません。
亡くなる直前には障害等級に該当する症状であっても、障害認定日時点では、障害等級に該当するほどの状態ではなかった場合(審査をされるのはあくまでも障害認定日の症状)。
カルテが破棄もしくは認定日から3カ月以内に受診しておらず、障害認定日時点での診断書を作成してもらえない場合。



請求できる人

未支給年金を請求できる人は、亡くなった方と当時(死亡時)に生計を同じくしていた方です。

1.配偶者
2.子
3.父母
4.孫
5.祖父母
6.兄弟姉妹
7.その他 1〜6以外の3親等以内の親族

なお、「生計を同じく」していれば未入籍の内縁の妻でも請求可能です。また、必ずしも同居が条件ではなく、別居中でも亡くなった方から経済的な援助を受けていたり、定期的な連絡や訪問をし合う関係にあった場合には支給対象となります。



遺族年金の受給につながる可能性があります。

未支給年金の請求が死亡から5年以上たっている場合、未支給年金そのものは時効により支給がありません。しかしながら、死亡した人が死亡当時に障害厚生年金の受給権者であった場合、生計を同じくしていた遺族は遺族厚生年金を受給することが可能です。


以上、亡くなられた方が障害年金に該当していると思われる場合は、早急に障害年金(未支給年金)の手続きを進める必要があります。




2024年12月26日

個人情報開示請求について


障害年金請求の結果不支給決定や納得のいかない等級支給決定をうけた場合には、不服の申立て(審査請求・再審査請求)をすることができます

不支給の場合は、「不支給決定通知書」が届けられますが、通知書に同封されている
「決定の理由」の記載のみでは実際どのような理由で決定に至ったのかその理由がはっきりとしはません。不支給の理由を明らかにしたうえで対策を立てていかないと、不服申立てを行っても同じ結果が出るだけです。

不服の申し立てを行うのであれ、まず保険者がどのような経緯でその決定を下したのかを知る必要があります。そのためにも日本年金機構に個人情報の開示請求を行い、審査の基準、根拠等具体的な内容が記載された内部書類である認定調書を取り寄せる必要があります。認定調書を読み解くことで、不支給決定の場合であれば、不支給に至った理由が明らかになり対策が立てやすくなります。


保有個人情報開示請求には2つのルートがあります。

厚生労働大臣宛で出す場合


請求書には収入印紙300円分を貼付けます。
添付書類としては運転免許証や個人番号カードなどの本人確認書類を同封、開示請求を郵送で行う場合にはさらに住民票(開示等請求の前30日以内に交付されたもの)を同封します。

請求書様式はコチラ>>

保有個人情報開示請求書<<標準様式第 2-1>を使用します。

1「開示を請求する保有個人情報(具体的に記載してください。)」欄には、「□□(氏名)基礎年金番号〇〇〇〇が令和◯年◯月◯日に受けた障害基礎(厚生)年金の不支給決定に関して、その根拠や審査の経緯がわかる書類一式」と記入します。


送付先
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1丁目2番2号
中央合同庁舎第5号館2階 
厚生労働省大臣官房総務課公文書管理・情報公開室

日本年金機構宛に郵送 年金事務所に持参又は郵送 で出す場合

こちらの場合は指定金融機関の口座へ振込により300円納付します。
振込明細書等振込を確認できる資料の写しを開示請求書に添付して提出します。
なお、振込手数料は請求者の負担となります。
添付書類
年金事務所の窓口へ提出する場合
請求者本人の氏名および現住所が記載された、運転免許証や個人番号カードなどを提示・提出します。

請求書様式はコチラ>>

郵送による場合
本人確認書類の複写物(コピー)に加えて、住民票の写し(ただし、開示等請求の前30日以内に交付されたものに限る。)を添付して送付します。


請求後の流れ
開示請求のあった保有個人情報の開示・不開示を決定されたのち、開示請求者に書面(郵送)により通知されます。開示・不開示の決定は、原則として開示請求書を受け付けた日から30日以内(開示請求の補正等に要した日数は含まれません。)ですが遅れる場合もあります。

開示決定の通知を受けた後、請求者は通知のあった日から30日以内に、開示決定通知に同封された「開示の実施方法申出書」に希望の開示方法(写しの交付、全部)にチェックを入れ、指定された金額分の切手を同封し提出(郵送または来所)します。
返送後数日で開示書類が郵送されてきます。

なお、障害年金請求の際に提出した受診状況等証明書や診断書等の写しが手元にない場合、住所地を管轄している年金事務所に電話をして(基礎年金番号を手元に)、提出書類一式のコピーを送って欲しい旨伝えると2~3週間で自宅に送られてきます。




2024年11月12日

障害年金支給額

 

令和7年度の年金額

   *前年度から1.9%の引き上げとなります。
   *昭和31年4月2日以降生まれの方の金額です。

(1)障害基礎年金でもらえる金額
【1級】 1,039,625円(子供がいる場合は加算)
【2級】  831,700円(+子供がいる場合は加算  
 
子供の加算
  ①年齢要件   
   18歳到達年度の末日(3月31日)までの子供  
   20歳未満で1級または2級の障害状態にある子供  
  ②扶養要件  
   障害基礎年金の受給権者によって生計を維持する子
  ③加算額  
   第1子・第2子 各 239,300円    
    第3子以降   各  79,800円

(2)障害厚生年金でもらえる金額
【1級】  報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級                     (+配偶者がいる場合は加算)
【2級】  報酬比例の年金額+障害基礎年金2級        
         (+配偶者がいる場合は加算)
【3級】  報酬比例の年金額 
         (最低保障額 623,800円)
【障害手当金】 (一時金) 報酬比例の年金額×2年分                       (最低保障額 1,247,600円)  

(3)配偶者の加算
①配偶者の条件  
 生計を維持されている65歳未満の配偶者。なお、配偶者が老齢厚生年金、退職共済年金(被保険者期間が20年以上または中高齢の資格期間の短縮特例に限る)または障害年金を受けられる間は、配偶者の加算は止まります。
②加算額  
  239,300円

 (4)年金生活者支援給付金
 障害基礎年金の受給権者で、かつ前年の所得が4,721,000円+扶養親族数×38万円以下の方等に支給。
*障害年金等の非課税収入は年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれませ ん。
*所得は扶養家族等の数に応じて増額されます。

給付額  障害基礎年金 1級の方 月額 6,813円
     障害基礎年金 2級の方 月額 5,450円

 

 

 

(令和6年度価格)昭和31年4月2日以降生まれの方

(1)障害基礎年金でもらえる金額
【1級】 1,020,000円(子供がいる場合は加算)
【2級】  816,000円(+子供がいる場合は加算)
  子供の加算
  ①年齢要件
   18歳到達年度の末日(3月31日)までの子供
   20歳未満で1級または2級の障害状態にある子供
  ②扶養要件
   障害基礎年金の受給権者によって生計を維持する子
  ③加算額
   第1子・第2子 各 234,800円
   第3子以降   各  78,300円

(2)障害厚生年金でもらえる金額
【1級】  報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級
            (+配偶者がいる場合は加算)
【2級】  報酬比例の年金額+障害基礎年金2級
            (+配偶者がいる場合は加算)
【3級】  報酬比例の年金額 (最低保障額 612,000円)

【障害手当金】 (一時金) 報酬比例の年金額×2年分 
             (最低保障額 1,224,000円)
  配偶者の加算
①配偶者の条件
 生計を維持されている65歳未満の配偶者。なお、配偶者が老齢厚生年金、退職共済年金(被保険者期間が20年以上または中高齢の資格期間の短縮特例に限る)または障害年金を受けられる間は、配偶者の加算は止まります。
②加算額  234,800円
③報酬比例の年金額の計算式(簡略)
 A:平成 15 年3月以前の平均標準報酬月額× 7.125/1000 × 平成 15 年3月以前の被保 険者期間の月数
 B:平成 15 年 4 月以後の平均標準報酬額× 5.481/1000 ×平 成 15 年4月以後の被保険 者期間の月数
●年金額= A + B
※1 被保険者期間の月数は、300 月に満たない場合は、300 月として計算します。
※2 障害認定日の属する月の翌月以後の被保険者期間は年金額の計算に算入されません。
※3 計算にあたり、過去の標準報酬月額と標準賞与額は現在の水準に置き換えて計算します。

〇年金生活者支援給付金

 障害基礎年金の受給権者で、かつ前年の所得が4,721,000円+扶養親族数×38万円以下の 方に支給。

 *障害年金等の非課税収入は年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。*所得は扶養家族等の数に応じて増額されます。

    給付額  障害基礎年金 1級の方 月額 6,638円

         障害基礎年金 2級の方 月額 5,310円

 (令和6年度価格)昭和31年4月1日以前生まれの方

1)障害基礎年金でもらえる金額

【1級】 1,017,125円(子供がいる場合は加算)
【2級】 813,700円(+子供がいる場合は加算)  
  子供の加算  
 ①年齢要件 18歳到達年度の末日(3月31日)までの子供           20歳未満で1級または2級の障害状態にある子供 
 ②扶養要件 障害基礎年金の受給権者によって生計を維持する子 
 ③加算額   第1子・第2子 各 234,800円
         第3子以降   各  78,300円
(2)障害厚生年金でもらえる金額
【1級】  報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級                (+配偶者がいる場合は加算)
【2級】  報酬比例の年金額+障害基礎年金2級                   (+配偶者がいる場合は加算)
【3級】  報酬比例の年金額 (最低保障額 610,300円)
    【障害手当金】 (一時金) 報酬比例の年金額×2年分   
           (最低保障額 1,220,600円)  
  配偶者の加算
①配偶者の条件 生計を維持されている65歳未満の配偶者。
 なお、配偶者が老齢厚生年金、退職共済年金(被保険者期間が20年以上ま たは中高齢の資格期間の短縮特例に限る)または障害年金を受けられる間 は配偶者の加算は止まります。
②加算額  234,800円

 

 生年月日によって改定率が分かれるのはなぜですか。>>

                       日本年金機構HP参照



2024年09月15日

生活保護受給中の方へ


 障害年金と生活保護費は併給調整されます

 生活保護を受給していると障害年金の申請ができないと思われている方が多いですが、できないわけではありません。
 ただし、両方貰うことができない点に注意が必要です。
 生活保護の方が通常金額が大きいため障害年金が支給されている間は、年金額が
生活保護費から差し引かれることになります。

 とはいえ、生活保護を障害年金に切り替えるメリットはあります。
 障害年金は貯蓄や資産を作っても支給停止になることはありません。また働きながら
 受給することも可能です。

 社労士に請求を依頼する場合(経費認定について)

 障害年金請求をご自身でされる場合を除いて、当センターに請求代行をご依頼される
場合、報酬等の費用が発生します。当センターで請求を行い障害年金を受給できた場合
でも、今後の収入金額はあまり変化しないにもかかわらず、報酬等の費用の支払い負担
のみ生じることになります。


 ただし、一部の市区町村では、社労士への請求代行費用を負担している地域があります。
柏原市は現状経費認定をしてもらえます。障害年金請求を行った結果3~4か月分の年金が振り込まれた場合、請求代行費用は経費として差し引いた金額のみが収入として生活保護費と調整されます。なお、詳細についてはCWにお問い合わせください。

 今後、就職して生活保護の受給を打ち切ることを考えている方は、就労支援施設での就労と併せて障害年金の受給を検討してみてはどうでしょうか。
 


2024年08月24日

障害の程度が重くなった場合

 障害の程度が重くなった場合は、年金額の改定請求の手続きを行うことができます。障害の程度が重くなり、上位等級に該当する場合は、請求月の翌月分から年金額が増額改定されます。
 ただし、過去1年以内に障害の等級が変更された方または年金額の改定請求を行った方はこの請求はできません。(省令に定められた障害の程度が増進したことが明らかである場合には1年を待たずに請求することができます。)

 障害年金をすでに受け取っている場合 


  額改定請求をすることで年金額が増額されます。
 障害年金は等級が決まると1~5年の期間を設けて行われる更新の手続きまでは変わる
 ことはありません。もしこの間に障害の状態が悪化した場合、本人から請求の手続きを
 行わない限り障害等級の変更されません。

 額改定請求には、請求日前3か月以内の現症の診断書が必要です。
 額改定は次の1・2の場合請求することができます。
    年金を受ける権利が発生してから1年を経過した日
    障害の程度の診査を受けた日から1年を経過した日
 ただし、以下の場合には、1年を経過していなくても額改定請求ができます。

       1年を待たずに額改定ができる場合(新法用)>>
       1年を待たずに額改定ができる場合(旧法用)>>                          (日本年金機構公式サイトへ)

 65歳を過ぎてから障害が悪化した場合


 3級の障害厚生年金を受けている人が65歳以上になったときは、年金額の改定の請求
 はできません。例外として、過去に支給事由を同じくする障害年金で1級又は2級に
 該当したことのある人は、65歳を超えても額改定請求を行うことが可能です。

 障害年金をまだ受け取っていない場合


  障害年金をまだ受けたことがなく不支給決定を受けた場合です。
  障害認定日の時点での障害の状態が、障害等級に該当する程度でなかったとしても、
 その後症状が悪化し、障害等級に該当する程度になれば、事後重症請求が可能です。
  請求の翌月から障害年金を受け取ることができます。ただし、65歳に達する日の前日
 までに請求しなければなりません(老齢年金の繰り上げをしている場合は事後重症請求
 できません)。

  特別支給の老齢厚生年金で障害者特例を受けている方は、障害状態確認届の提出が
 求められませんので、2級に一度もなったことがない3級受給権者が2級程度の障害状態
 になったときは、自分で65歳前に増額改定請求を行う必要があります。でないと、
 その後障害の状態が悪化しても二度と2級以上の障害年金は受給できなくなります。
   *旧厚年法の障害厚生年金については、等級にかかわらず65歳以後でも額改定が
    可能です。

●減額改定後の額改定請求
  減額改定があった場合診査日は指定日の属する月の3か月後の初日となります。
 例:4月生まれの方は3か月後の7月1日が診査日となるため、額改定請求ができるのは
  翌年の7月2日以後となります。

●増額改定後の額改定請求
  増額改定があった場合の診査日は指定日の属する月の初日です。
 例:4月生まれの人が指定日までに障害状態確認届を提出してその結果増額改定があった
  場合の診査日は4月1日となります。
  その後さらに障害の程度が増進した場合、額改定請求を行えるのは翌年の4月2日
 以後です。

●障害状態確認届で等級が同じもしくは変更になった場合
  等級に変更がなかった場合、1年を待たずにいつでも額改定請求ができます。
  下の等級に落ちてしまった場合は1年を待たなければなりません。

 

 以上、支給停止中の障害の増進、障害状態が変わったことによる額改定請求については、
請求可能な時期及び一人一人の置かれた状況でとるべき最良の手段が異なってきます。
 いろいろとクヨクヨお悩みになる前に一度ご相談ください。
 *支給停止の解除等は、に添付する診断書の現症日まで遡りますので悩んでいる期間が
 長いほど受給できたであろう年金額が減っていきます。

 

 

*利用上のご注意
 リンク先は日本年金機構HPとなります。リンク先サイト上の文章や画像などの各
ファイル、およびその内容は、予告なしに変更または中止される場合があります。
また、いかなる場合であっても、リンクに関して発生した損害について、障害年金請求
サポートセンターでは一切の責任を負わないものとします。

 

2024年08月23日

障害状態確認届の提出が遅れた場合

障害年金には、「永久認定」と「有期認定」の2種類があります。
 「有期認定」の場合1年から5年ごとに診断書を提出しなければなりません。その時に提出する診断書のことを障害状態確認届といいます。障害状態確認届は、誕生月の3か月前の月末にご自宅に郵送されます。提出期限は誕生日月の末日(指定日)です。
 4~5か月ほどで等級に変更がなければ「次回診断書提出年月のお知らせ」が届きます。等級に変更があれば「支給額変更通知書」が届きます。

○提出指定日までに確認届が提出
・増額改定された場合・・・指定日の属する月の翌月から増額された年金が支給されます。
・減額改定された場合・・・指定日の属する月から3か月経過した日の翌月から減額された年 金が支給されます。
○提出指定日までに確認書が提出されない場合
 指定日の属する月の翌月以降年金給付が一時差し止められます。

○その後、確認届を遅れて提出した場合
指定日から3ヶ月以内の現症日の確認届が提出された場合
・増額改定された場合・・・指定日の属する月の翌月から増額された年金が支給されます。
・減額改定された場合・・・指定日の属する月から3か月経過した日の翌月から減額された年 金が支給されます。
指定日の翌日から3ヶ月を超え1年以内に現症日がある確認届が提出された場合
・増額改定された場合・・・指定日の属する月の翌月から増額された年金が支給されます。
・減額改定された場合・・・指定日の属する月から3か月経過した日の翌月から減額された年 金が支給されます。
 但し指定日の属する月の翌月から現症日までの期間は、障害状態によって別途判定されます。

○提出指定日の翌日から1年以上経過した日に確認届が提出された場合
経過した各年の指定日の確認届がある場合
  各年の確認届の現症日の翌月から遡及して額改定、支給停止を行われる。
経過した各年の提出指定日の確認届が無い年がある場合 
  確認届の提出がある年は、その内容に従って額改定、支給停止が行われる。
  確認届の提出がない場合は、前後の障害状態の継続の有無について医学的に推認が可能  かどうか検討される。 
   ・前後で等級が変わらない場合・・・従前の等級とする
   ・前後で等級が上下する場合・・・・同上
   ・推認できない。(障害状態が確認できない)・・・・一定の手続きの後 支給停止    なお精神障害の場合には、医学的な推認は行われません。

2024年07月09日

障害年金の対象となる傷病名


眼の障害
白内障、緑内障、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎、視野狭窄眼球委縮、網膜脈角膜委縮、網膜はく離、両錐体ジストロフィー、黄斑変性症、レーベル視神経症、ベーチェット病(眼に症状が出る場合)、多発性硬化症(眼に症状が出る場合)、外傷性網脈絡破裂・眼球破裂、低酸素脳症による失明など
聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・音声又は言語機能の障害
感音性難聴、特発性難聴、メニエール病、真珠腫性中耳炎、音響外傷、内耳障害、失語症、咽頭腫瘍、上顎腫瘍、舌腫瘍、舌がん、外傷性鼻科疾患、咽頭摘出や脳梗塞による言語機能の消失など
肢体の障害
上肢・下肢障害、脳梗塞・脳出血後遺症、脳血管疾患、脳腫瘍、脳挫傷、頭部外傷後遺症、脊髄小脳変性症、頚椎症性脊髄症、頸髄損傷、パーキンソン病、脊柱管狭窄症、筋ジストロフィー、ヘルニア、慢性関節リウマチ、悪性関節リウマチ、変形性股関節症、膝関節屈曲位拘縮、人工関節、人工骨頭、脳性麻痺、頚椎性麻痺、腰椎分離すべり症、大腿骨頭壊死、上肢・下肢・指の切断、糖尿病性壊疽、糖尿病性神経障害、多発性骨髄腫、多発性硬化症(肢体に症状が出る場合)、線維筋痛症、多系統萎縮症(オリーブ小脳萎縮症)、アルコール性末梢神経障害、脳脊髄液減少症、ポリオ、ポストポリオ、膠原病、ジストニア、ミトコンドリア脳筋症、筋委縮性側索硬化症(ALS)、脊柱管狭窄症、骨肉腫(骨のがん)、ミエロパチー、ビュルガー氏病、ホジキン病、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、胸椎黄色靱帯骨化症、後縦靭帯骨化症など
精神の障害
うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、気分障害、発達障害(広汎性発達障害、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム)、アルコール依存症、知的障害、ダウン症、てんかん、高次脳機能障害、非定型精神病、若年性アルツハイマー、認知症、トゥレット症候群(チック症)など
※障害年金では認定の対象外としている「神経症」や「人格障害」で認定された事例
強迫性障害
呼吸器疾患の障害
中皮腫、肺気腫、間質性肺炎、肺結核、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、肺がん、じん肺、肺胞のう症、気管支喘息、気管がん、気管支炎、気管支拡張症、非結核性抗酸菌症、慢性呼吸不全、酸素療法など
循環器疾患の障害
心不全、ファロー四微症、ペースメーカー装着、心室中隔欠損、人工弁装着、拡張型心筋症、心臓弁膜症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁精査不全症、梗塞型心筋症、狭心症、心筋梗塞、心房細動、心室細動、心室頻拍症、洞不全症候群、冠動脈バイパス術後遺症、高度房室ブロック、完全房室ブロック、モビッツⅡ型房室ブロック、僧房弁狭窄症、相貌弁膜症、悪性高血圧症、解離性大動脈瘤、マルファン症候群、ロイス・ディーツ症候群など
腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害
人工透析、腹膜透析、慢性腎不全、糖尿病性腎症、慢性腎炎、慢性糸球体腎炎(ループス腎炎)、腎機能障害、IgA腎症、ネフローゼ症候群、腎のう胞、肝のう胞、肝硬変、肝腫瘍、肝臓がん、肝細胞がん、糖尿病など
血液・造血器・その他の障害
悪性新生物(がん)(前立腺がん、胃がん、大腸がん、直腸がん、乳がん、子宮体がん、卵巣がん、肛門がん、悪性リンパ腫、後腹膜平滑筋肉腫など)、人工肛門、骨髄腫、脳腫瘍、HIV(エイズ)、ヒト免疫不全ウイルス感染症、白血病、血友病、血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症、再生不良性貧血、好酸球性多発血管炎性肉芽腫、自己免疫疾患、骨髄異形成症候群、慢性炎症性脱髄性多発性神経症(CIDP)、キャッスルマン病、多発性骨髄腫、化学物質過敏症、電磁波過敏症、クローン病、バセドウ病、膠原病、潰瘍性大腸炎、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、ギラン・バレー症候群、慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)、慢性群発頭痛、原発性免疫不全症候群(分類不能型免疫不全症CVID)など

2021年09月21日

障害年金請求で必要な書類

障害年金の請求に必要な主な書類は以下の4つです。
(1)診断書
(2)病歴・就労状況等申立書
(3)受診状況等証明書
(4)障害年金裁定請求書
1.診断書
診断書の内容としては、治療経過・各種検査データ・臨床所見などが中心ですが、その他に、日常生活動作・生活能力・一般状態・労働能力などです。当然のことながら、診断書は医師にしか作成することができません。障害年金の成否の大部分は診断書で決まります。
2.病歴・就労状況等申立書(病歴状況等申立書)
病歴・就労状況等申立書(申立書)は、請求者が発病から初診日までの経過、現在までの受診状況および就労状況等について記載する書類です。
請求者側が自ら作成して申告できる唯一の参考資料であり、自分の障害状態を自己評価しアピールできるのは、この申立書以外にないので、できるだけ具体的に、発病から現在までの病状・治療の流れ、日常生活の様子が目に見えるように作成する必要があります。
3.受診状況等証明書
受診状況等証明書は、診断書作成医療機関と初診時の医療機関が異なっている場合に、初診時の医療機関で取得していただく証明書類で、よく「初診日証明」とも言われます。
請求者が初診日から継続して同一の医療機関で受診されている場合は、提出された診断書によって初診日における医師の証明が確認できますので必要ありません。
4.障害年金裁定請求書
障害年金裁定請求書は、請求者の氏名や住所、配偶者や子などのデータ、その他請求にあたっての基本事項を記入する書類で、障害年金の請求は、この障害年金裁定請求書に診断書などの必要な書類を添付して行います。

2021年09月21日

障害等級認定基準


眼の障害> ブドウ膜炎、緑内障、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、眼球はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症等
聴覚障害> 感音声難聴、突発性難聴、神経症難聴、メニエール病
鼻腔機能障害> 外傷性鼻科疾患等
平衡機能障害> メニエール病、脳疾患後遺症等
咀嚼・嚥下機能障害> 顎・顎関節・口腔・咽頭・喉頭の欠損、重症筋無力症、筋ジストロフィー、筋委縮性側索硬化症等
音声・言語機能障害> 咽頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)等
上肢の障害>
下肢の障害>
体幹・脊柱の機能障害>
肢体の機能障害>
人工骨頭等、骨折、変形性股関節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群等
精神の障害> うつ病、そううつ病、統合失調症、てんかん、知的障害、発達障害、高次脳機能障害等
神経系統の障害> 脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、脳腫瘍、多発性硬化症、パーキンソン病、脊髄損傷、脊髄腫瘍、糖尿病等
呼吸器疾患による障害> 気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全等
心疾患の障害> 弁疾患、心筋疾患、虚血性疾患(心筋梗塞、狭心症)、難治性不整脈、大動脈疾患、先天性心疾患等
腎疾患の障害> 慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎等
肝疾患の障害> 肝炎、肝硬変、肝がん等
血液・造血器疾患による障害> 再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ種、多発性骨髄膜、骨髄異形性症候群、HIV感染症等
代謝疾患の障害> 糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性壊疽等
悪性新生物による障害> すべての悪性腫瘍
高血圧症による障害> 悪性高血圧症等
その他の疾患による障害> 直腸腫瘍、膀胱腫瘍、化学物質過敏症、線維筋痛症、慢性疲労症候群、脳脊髄液減少症、クローン病、ヒト免疫不全ウイルス感染症等

認定基準については、リンクの転送先は日本年金機構公式サイトとなります。

*利用上の注意
リンク先は日本年金機構HPとなります。リンク先サイト上の文章や画像などの各ファ
イル、およびその内容は、予告なしに変更または中止される場合があります。また、
いかなる場合であっても、リンクに関して発生した損害について、障害年金請求サポー
トセンターでは一切の責任を負わないものとします。

 

2021年09月19日

障害認定日の特例

下記の状態になった場合、1年6か月以内であってもそれぞれの日が障害認定日として扱われます。

○人工透析療法を受け始めてから 3か月経過した日、かつその日が初診日から
 1年6か月以内の場合。

○人工骨頭又は人工関節を挿入置換した日

肘関節の上腕尺骨関節に人工関節を挿入置換した場合3級
*上腕橈骨関節の橈骨頭に人工骨頭を挿入置換した場合は、該当しない

 

○肢体を離断・切断した障害は、原則として切断・離断した日

障害手当金の場合は、創面が治癒した日

 

○脳血管障害は初診日より6か月経過した日以後に、医学的観点からそれ以上に機能回復が 殆ど望めないと認められるとき。
(初診日から6か月が経過した日以後に症状が固定したと認定された場合のみ)

*診断書の備考欄に機能回復が見込めないこと、医学的リハビリを行っていないこと、ボツリヌス注射は症状の改善を目的としたものではないこと等 を記載してもらうこと。
※精神疾患の高次脳機能障害は1年6か月を待つ必要あり

 

○人工心臓、補助人工心臓心臓移植を移植した日・装着日で1級認定。
但し、1~2年後に症状が安定した場合は級が下がる場合あり。

心臓ペースメーカー、 植え込み型除細動器(ICD)、人工弁、CRT(心臓再同 期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓同期医療機器)を装着した日。

○人工血管(ステントグラフトを含む)を 挿入置換した日。
但し3級該当は、診断書の一般状態区分表が「イ」又は「ウ」の場合。 

*心臓にステントを入れているだけで障害年金対象になるのは(大動脈疾患)です。胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤により、人工血管を挿入している場合には障害年金3級となります。
胸部大動脈瘤に対しては、胸部・胸腹部に置換した場合は該当するが、腹部に置換した場合は該当せず。
人工血管は腕や頸動脈に置換しても該当しません。
冠動脈へのステント留置術も該当せず。

 

○人工肛門を造設した場合や尿路変更術を 施した場合、手術日から起算して 6か月を経過した日

人工肛門造設日から起算して6か月経過前後に閉鎖した場合
⇒6カ月経過目の閉鎖は、障害認定日の特例にならない
⇒再度造設した場合は、再度造設した日から起算する


○新膀胱造設日

○喉頭全摘出した日

○常時(呼吸)在宅酸素療法を開始した日
筋萎縮性側策硬化症(ALS)による四肢・体幹の筋萎縮・筋力低下によって呼吸困難となり 、 入院中から24時間のNPPV(非侵襲的間欠陽圧人工呼吸療法)を開始した場合も認められる可能性大。

○今後の回復は期待できず、初診日から6ヵ月経過した日以後において、気管切開下での人工呼吸器(レスピレーター)使用、胃ろう等の恒久的な措置が行われており、日常の用を弁ずることができない状態であると認められるとき

○遷延性意識障害(植物状態)の状態に 至った日から起算して3月を経過した日以後、医学観点から、機能回復が殆ど望めないと認められたとき。

起算日は初診日からではなく、遷延性意識障害の状態に至った日から起算。
*診断書又は受診状況等証明書には起算日の明記が必要。





2021年09月19日

受給要件について

(1) 初診日要件 
  障害の原因となった傷病の初診日が、国民年金または厚生年金保険の被保険者
 期間中であること
  *初診日とは・・・その病気やケガで初めて受診した医療機関のことで、
  必ずしも確定診断を受けた日とは限りません。


(2)保険料納付要件
  初診日において以下の①または②を満たしている必要があります。
  なお、免除期間も保険料を支払っていた期間としてカウントされます。
  初診日を過ぎてから保険料を支払ったり、初診日を過ぎてから免除手続をし
  ている場合はカウントされません。
  ① 障害年金を請求しようとする傷病にかかる初診日の前日において、初診日の
   属する月の前々月までの被保険者期間について、保険料納付期間と免除期間を
   合算した期間が加入期間の3分の2以上あること。
  ② ①を満たさない場合は、直近1年間に滞納期間がないこと
   初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間に、保険料
   納付済期間と保険料免除期間以外の期間がないこと。ただし、初診日において
   65歳以上でないこと。平成38年4月1日前(3月31日まで)に初診日があること。
 【20歳前障害の例外】
  20歳前に初診日がある人については、保険料納付要件は問われません。
  国民年金の保険料は20歳になってから支払いますが、20歳前に初診日が
  ある人はそもそも保険料を払うことができないためです。

(3)障害状態該当要件
  障害年金を受けられるかどうかは、障害認定日に一定以上の障害状態にあるかどうかで  判断されます。
  障害認定日とは、初診日から1年6か月が経過した日か、1年6か月が経過する前に症  状が固定し、それ以上治療の効果が期待できない状態となった日のことです。


2021年09月17日

初診証明が取れない場合

 平成27年10月1日から障害年金の初診日を証明する書類が添付できない場合であっても、初診日を合理的に推定できるような一定の書類により、本人が申し立てた日を初診日と認められるようになりました。

初診日の証明書類がない場合
初診日を証明する書類の無い場合、以下の提出書類を審査のうえ、本人の申し立てた日が初診日として認められます。


①初診日について第三者(隣人、友人、民生委員等)が証明する書類及び参考書 類が提出された場合
 ※ 20歳前に初診日がある障害基礎年金については、以前から第三者の証明による
  初診日の確認が認められています。

②保険料納付要件を満たしたうえで、初診日が一定の期間内にあることを示す参 考書類が提出された場合 


◆<参考書類の例>
身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・糖尿病手帳・お薬手帳(処方箋)
領収書・診察券(診察日や診療科が分かるもの)・問診票
身体障害者手帳等の申請時の診断書
生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書
事業所等の健康診断の記録
母子健康手帳 
健康保険の給付記録
小学校・中学校等の健康診断の記録・成績通知表
盲学校・ろう学校の在学証明・卒業証書
初診日に関する第三者からの申立書
入院記録・手術記録・入院時の同意書・入院時の説明書・看護サマリー・処方箋救急搬送記録・交通事故証明書
日記帳・古いカレンダー 他




 

 

 初診日が5年経過していてカルテが保存されていなくても、「患者サマリー」として既往歴を保存している医療機関が多くなってきています。


 *患者サマリー
 患者の病歴や治療・看護等の情報を要約した書類である。患者が転院または退院する際や病棟が変わる際に、次の受け入れ先(施設、家庭、別の病棟など)でスムーズなケアと継続的な看護が続けられるようにするため、看護師が作成するものです。

 

 

 

 

 実際のところ第三者証明だけで初診日が認められるようなことはほぼありません。
 医師や看護師の協力を得られる場合を除いては、第三者証明だけでなく初診日について参考となる他の資料の提出が必須です。


 年金事務所へ相談に行かれると、「初診日の証明できないようであれば第三者証明を出すように」と言われることがあります。
 相談者は第三者証明さえ出せば初診日が認められると思いがちですが、それは大きな間違いです。友人、知人に書いていただいても、よほど客観的にかつ説得力のある内容でないと認められることはありません。


 初診日の証明ができない場合は第三者証明に走る前に、とにかく受診した病院をどんどん遡っていき、カルテの有無を確認したうえで、カルテ内に初診日の記載がないか確認をしていく必要があります。請求の5年以上前に医療機関が作成した資料(カルテ等)に本人申立ての初診日が記載されており、それをもとに作成された資料があれば、その資料単独で初診日の認定が可能となります。
 記載内容の証明をお願いしても、病院からは断られることが有ります(理由は不明ですが)。その場合はカルテの開示請求をかけ障害年金請求時に添付するという方法もあります。

 障害年金は初回の請求が非常に大切です。とりあえず出して不支給なら不服申し立てができるという発想は非常に危険です。審査請求、再審査請求まで考えた場合、請求時から2年程度はかかります。その労力は計り知れません。
 障害年金は書類さえそろえば誰にでも請求は可能です。ゆえに、安易に請求をし不支給決定を受ける方が非常に増えております。


 初回請求で受給権を取るために、少しでもご不安なことがございましたら、障害年金を専門とする社会保険労務士にご相談ください。

 

 


2021年08月18日

精神疾患 同一疾病として扱う場合

知的障害や発達障害と他の精神疾患が混在しているケースについては、障害の特質性から以下の通りの扱いとなります。但し、認定にあたってはこれらを目安に発病の経過や症状から相貌的に判断されることになります。

 

同一疾病として取り扱う場合

① うつ病又は統合失調症と診断されていた後に発達障害が判明する場合については、そのほとんどが診断名の変更であり、新たな疾病が発症したものではない事から同一疾病として扱います。


② 発達障害と診断された後にうつ病や神経症で精神病様態を併発した場合は、うつ病や精神病様態は、発達障害が起因して発症したものとの考えるのが一般的であることから同一疾病として扱います。


③ 知的障害と発達障害については、いずれも20歳前に発症するものとされているので、知的障害と判断されたが、障害年金の受給に至らない程度の場合に後から発達障害が診断され障害等級に該当した際は、原則として同一疾病として扱います。

 例えば、3級程度の知的障害であった方が、後に発達障害の症状が顕著になった場合は同一疾病とし事後重症扱いとなります。
 知的障害と診断された方が後にうつ病を発症した場合は、知的障害に起因して発症したと考え同一疾病として扱います。
 なお、発達障害や知的障害の症状の中には、稀に統合失調症の様態を呈するものもあります。


別疾病や併発として取り扱う場合

① 知的障害を伴わない又は3級不該当程度の知的障害がある方については、発達障害の症状により、初めて診療を受けた日を初診とし別疾病として扱います。


② 発達障害や知的障害である方が後に統合失調症を発症することは極めて稀とされていることから原則別疾病とされます。


③ 知的障害と診断され後に神経症で精神病様態を併発した場合は別疾病として扱います。
*但し精神病様態が、統合失調症の病態を示している場合は、統合失調症が併発したとして取り扱います。

同一疾病として扱うか、別疾病として扱うかにより、初診日や障害認定日が当然ながら変わってきます。準備書類も違ってきますので注意が必要です。


具体的な取扱いについては、厚生労働省の疑義照会「知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取扱い(情報提供)(給付企No.2011-1)」で、回答されています。

給付企 No.2011―1

 

(内容)

 知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取扱いについて伺います。
平成23年6月30日付にて発出された、厚生労働省年金局長通知「国民年金・厚生年金保険障害認定基準の一部改正について」では、「第8節/精神の障害」の「2 認定要領」にて、「D 知的障害」、「E 発達障害」のそれぞれの区分でいずれも「また、知的障害(Eでは「発達障害」である。)とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。」とありますが、これまで、知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取扱いについて具体的に明示されていたものはなく、具体的にはどのような取扱いとなるのかご教示願います。

(回答)

 知的障害や発達障害と他の精神疾患を併発しているケースについては、障害の特質性から初診日及び障害状態の認定契機のついて次のとおり整理するが、認定に当たっては、これらを目安に発病の経過や症状から総合的に判断する。
(1) うつ病又は統合失調症と診断されていた者に後から発達障害が判明するケースについては、 そのほとんどが診断名の変更であり、あらたな疾病が発症したものではないことから別疾病とせず 「同一疾病」として扱う。
(2) 発達障害と診断された者に後からうつ病や神経症で精神病様態を併発した場合は、うつ病や 精神病様態は、発達障害が起因して発症したものとの考えが一般的であることから「同一疾病」と して扱う。
(3) 知的障害と発達障害は、いずれも20歳前に発症するものとされているので、知的障害と判 断されたが障害年金の受給に至らない程度の者に後から発達障害が診断され障害等級に該当する場 合は、原則「同一疾病」として扱う。
 例えば、知的障害は3級程度であった者が社会生活に適応できず、発達障害の症状が顕著になった 場合などは「同一疾病」とし、事後重症扱いとする。
 なお、知的障害を伴わない者や3級不該当程度の知的障害がある者については、発達障害の症状に より、はじめて診療を受けた日を初診とし、「別疾病」として扱う。
(4) 知的障害と診断された者に後からうつ病が発症した場合は、知的障害が起因して発症したと いう考え方が一般的であることから「同一疾病」とする。
(5) 知的障害と診断された者に後から神経症で精神病様態を併発した場合は「別疾病」とする。
 ただし、「統合失調症(F2)」の病態を示している場合は、統合失調症が併発した場合として取 り扱い、「そううつ病(気分(感情)障害)
 (F3)」の病態を示している場合は、うつ病が併発した場合として取り扱う。)
(6) 発達障害や知的障害である者に後から統合失調症が発症することは、極めて少ないとされて いることから原則「別疾病」とする。
 ただし、「同一疾病」と考えられるケースとしては、発達障害や知的障害の症状の中には、稀に統 合失調症の様態を呈うな症状があると作成医が統合失調症の診断名を発達障害や知的障害の傷病名 に付してくることがある。したがって、このような場合は、「同一疾病」とする。

(参考)
発達障害は、ICD-10では、F80からF89、F90からF98に あたる。

 

発達障害や知的障害と精神士官が併発する場合の一例

 

前発疾病 後発疾病 判定
発達障害 うつ病 同一疾病
発達障害 神経症で精神病様態 同一疾病
うつ病
統合失調症
発達障害 診断名の変更
知的障害(軽度)
発達障害 同一疾患
知的障害 うつ病 同一疾患
知的障害 神経症で精神病様態 別疾患
知的障害
発達障害
統合失調症 前発疾患の病態として出現している場合は同一疾患(確認が必要)
知的障害
発達障害
その他精神疾患 別疾患

 

 

2021年07月04日

相当因果関係あり

 前の病気やケガが無ければ、後の疾病は起こらなかったであろうと認められる場合、その2つの傷病は「相当因果関係」ありとして、同一の傷病とみなされます。
この場合は、前の傷病における初診日が障害年金請求上の初診日として扱われます。
 *もし、診断書に「傷病の原因又は誘因」、「既存障害」、「既往症」の欄に相当因果関係がありとする傷病名が記載されてある場合は、初診日が前の病気にまで遡る可能性がありますので注意が必要です。


相当因果関係があるとされている具体的な傷病については、例として下記の傷病があります。

<「相当因果関係あり」として取り扱われるもの>

①糖尿病と糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症等 は、相当因果関係ありとして取り扱う。
②糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎に罹患し、その後慢性腎不全 を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱う。
③肝炎と肝硬変は、相当因果関係ありとして取り扱う。
④結核の化学療法による副作用として聴力障害を生じた場合は、相当因果関係ありとして取 り扱う。
⑤手術等による輸血により肝炎を併発した場合は、相当因果関係ありとして取り扱う。
⑥ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭壊死が生じた場合は、相当因果関係ありとして 取り扱う。
⑦事故または脳血管疾患による精神障害がある場合は、相当因果関係ありとして取り扱う。
⑧肺疾患に罹患し手術を行い、その後、呼吸不全を生じたものは、肺手術と呼吸不全発生までの期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱う。
⑨転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認 できたものは、相当因果関係ありとして取り扱う。

<「相当因果関係なし」とし取り扱われるもの>

①高血圧と脳内出血または脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱う。
②糖尿病と脳内出血または脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱う。
③近視と黄斑部変性、網膜剥離又は視神経萎縮は、相当因果関係なしとして取り扱う。

2021年05月20日

初診日について

 初診日 とは、障害の原因となった傷病について、初めて 医師または歯科医師(以下「医師等」という)の診療を受けた日をいいます。
 *整骨院、ほねつぎ、鍼灸院等は初診日として認められません。

 障害年金における初診日は、初診日にどの年金制度に加入していたかにより受給できる障害年金が異なるとともに保険料納付要件判断のもとになりますので、障害年金の請求において非常に重要な意義を持っています。

 

 

初診日の考え方


障害年金における初診日は、具体的には次のように判断されます。

○初めて診療を受けた日(治療行為または療養に関する指示があった日)
 ※その傷病に関する診療科や専門医でなくてもかまいません。
○同一傷病で転医をした場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日。
○同一傷病で傷病が治ゆし、再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受け た日。
○傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判 断される場合は、最初に受信した日が対象傷病の初診日です。
○じん肺症(じん肺結核を含む)については、じん肺と診断された日。
○障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病がある ときは、最初の傷病について最初に受診をした日。
○先天性の知的障害(精神遅滞)は出生日。
 先天性心疾患、網膜色素変性症等は、具体的な症状が出現し初めて診療を受けた日。
○先天性股関節脱臼は、完全脱臼したまま生育した場合は、出生日が初診日とな り、青年期以降になって変形性股関節症が発症した場合は、発症後に初めて診 療を受けた日。
○起因する疾病があっても社会的治癒が認められる場合は、その後に初めて医師 の診療を受けた日。
 *過去の傷病が治癒した、その後再び同一傷病を発症した場合は、再発と して過去の傷病とは別傷病としますが、治ゆしたと認められない場合は、 傷病が継続しているとみて同一傷病として取扱われます。

 

健康診断を受けた日(健診日)は、原則初診日として取扱いません。  
ただし、 初診時(1番最初に受診した医療機関)の医師の証明が添付できない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申立てがあれば、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めたうえで、初診日を認めることができるものとされています。


相当因果関係について

相当因果関係あり」か「相当因果関係なし」かによって、以下のように初診日が変わります。

      相当因果関係あり→前発の病気やケガの初診日
      相当因果関係なし→後発の病気の初診日
 ただし、障害年金における相当因果関係は、前発の障害が疾病またはケガの場合で、後発の障害は疾病のみとされています。

 

相当因果関係ありと判断される具体例
○糖尿病と糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性壊疽(糖尿病性神経障害、 糖尿病性動脈閉塞症) 
○糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、慢性腎炎に疾患し、その後、慢 性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係ありと して扱う
○肝炎と肝硬変
○結核の化学療法による副作用として聴力障害が生じた場合
○手術等による輸血により肝炎を併発した場合
○ステロイドの投薬による副作用で大腿骨無腐性壊死が生じたことが明らかな場合
○事故または脳血管疾患による精神障害がある場合
○肺疾患に罹患し手術を行い、その後呼吸不全を生じたものは、肺手術と呼吸不全発 生の期間が長いものであっても相当因果関係ありとして取り扱う
○転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であること が確認できたものは、相当因果関係ありとして取り扱う

相当因果関係無しとして判断されるもの

○高血圧と脳出血又は脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱います。
○近視と黄斑部変性、網膜剥離又は視神経萎縮は、相当因果関係なしとして取り扱います。
○糖尿病と脳出血又は脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱います。

再発・社会的治癒について

過去の傷病と同一の傷病を発症した場合、再発なのか社会的治癒が認められるかによって初診日が異なってきます。

再発
過去の傷病が治癒したあとに、再び同じ傷病が発症したケースをいいます。
再発した場合には過去の傷病とは別の傷病として扱われ、再発してからはじめて医師等を受診した日が初診日にあたります。

 社会的治癒についてはコチラ>>>

難病の初診日について

原則として初診日は、障害の原因になった傷病で初めて医師等の診察を受けた日のことですが、難病については症状が初めて出て受診した日ではなく、確定診断を受けた日が初診日になるケースもあります。

 *線維筋痛症・化学物質過敏症・慢性疲労症候群・重症筋無力症については、一定の条件を満たしていれば請求者が申し立てた日を、障害年金の初診日として取り扱います。


上記のように初診日一つにしても複雑な要件が絡み合ってきます。初診日の設定を間違えると全て最初からやり直さなければなりません。
安易に請求を行医不支給になると、その後の請求が非常に困難になってきます。疑問点、ご不明な点等がありましたら当事務所にお問い合わせください。

 

 


2021年04月15日

障害年金とは

「障害年金」老齢年金などと同じ公的年金のひとつです。
障害年金を受給することは、老齢年金や遺族年金をもらうことと同様に、国民として当然の権利です。
 ただし、老齢年金と比べると認定基準などが複雑かつあいまいで、最初に間違った対応をしてしまうと一生損をする結果になります。

 

障害年金 受給要件について

 ①原則として20歳から64歳までの人が受給できる(当然ながら例外もあります)
 ②年金保険料を一定期間納付している方が対象です(20歳前傷病は別です)
 ③日常生活や就労に支障がある方が対象です

障害年金 受給額はいくら コチラ>>

障害年金の種類

 障害年金は初診日(現在の障害の原因となる病気やケガで初めて病院にかかった日)に加入している年金制度によって種類が異なり全部で3種類あります。 

①障害基礎年金
  障害基礎年金は初診日に国民年金に加入している方が受け取ることができる年金です。 日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方は国民年金に強制加入となっており、自営業 者、農業や漁業に従事している方、その配偶者さらに年金は収めていないですが20歳以前 に障害状態になった方なども対象となります。

②障害厚生年金
  障害厚生年金は初診日に厚生年金に加入している方が受け取ることができる年金です。 会社にお勤めの方やその配偶者の方が対象となります。
③障害共済年金
  障害共済年金は初診日に共済組合に加入している方が受け取ることのできる年金です。
 共済組合に加入するのは公務員や私立学校の教員の方々です。

 

2016年10月01日