アルコール依存症は障害年金の対象になるか
アルコール、薬物等の精神作用物質の使用による精神および行動障害についても障害年金の対象となります。但し、精神病性障害を示さない急性中毒及び明らかな身体依存の見られないものは対象外です。
精神科医によっては「アルコール依存症で障害年金は出るはずがない」と診断書の作成を拒否される場合があるようです。なお、「アルコール依存症」の単一傷病名のみでの請求も可能ですがアルコール依存症での認定は非常に厳しいと思われます。
アルコール摂取が関係する「アルコール性認知障害」や「アルコール性コルサコフ症候群」など、認知障害や人格変化、離脱時に幻覚(幻聴、幻視等)、せん妄、見当識障害等の明らかな身体依存の認められる傷病名や症状がある場合比較的認定されやすいです。
「アルコール依存症」での認定は可能か
アルコールに起因する精神疾患については、その飲酒に至った原因が重要となってきま
す。飲酒が好きで飲み過ぎたことが原因で依存症に至った場合と、職場環境や家庭環境の影響で精神疾患になり、その症状を緩和させるために大量飲酒に至った場合とでは、『故意に障害を生じさせた』か否かで判断が異なってきます。
国年法70条
「故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくはその原因となつた事故を生じさせ、又は障害の程度を増進させた者の当該障害については、これを支給事由とする給付は、その全部又は一部を行わないことができる。自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、死亡又はその原因となつた事故を生じさせた者の死亡についても、同様とする。」
厚年法73条の2
「被保険者又は被保険者であつた者が、自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生ぜしめ、若しくはその障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、保険給付の全部又は一部を行なわないことができる。」
アルコール依存症の傷病名で認定されるにはその実態が上記国年法70条、厚年法73条の2の適用外と言えるかどうかにかかっています。
診断書の記載内容は医師任せにしない
診断書作成依頼時には、障害認定基準に照らし合わせご自身の現在の障害状態を適切に記載していただけるよう、主治医には事前に日常生活状況等をまとめたメモを渡して置く必要があります。(―度作成した診断書の訂正依頼に応じる医師は非常に少ないです)。
さらに病歴申立書にも、現在の症状が障害認定基準に該当しその結果日常生活に著しい支障が出ていることを記載していかなければなりません。当然ながら、医師が作成した診断書と整合性を持たせることも重要です。