障害手当金と労災について

50代男性
Q.従業員が、業務上のけがで障害等級9級に認定されました。
 この場合、同時に厚生年金から障害手当金も受給できるのでしょうか。
A.労災保険と厚生・国民年金保険の併給調整は、年金と一時金で扱いが異ってきます。
 年金の場合は厚生・国民年金が優先、一時金は労災保険が優先です。
 年金の場合、障害厚生年金と障害基礎年金は満額支給され、労災年金が減額されます。
 厚生年金・基礎年金両方の受給権がある場合、労災保険は本来の額に一定の乗率を乗じた 額に減額されます。
  それでも、労災保険100%の額と、減額後(乗率換算後)の労災保険に障害厚生年金・基 礎年金を加えた額とを比較すると、通常は後者のほうが高くなります。
 労災の被災者はそれだけ優遇されます。
一 方、一時金については、障害手当金に関する規定(厚生年金保険法第56条)は、次のよ うになっています。
  「各号のいずれかに該当する者には、障害手当金を支給しない。
 一(略) 二(略) 三 当該傷病について国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法、 労働基準法第77条の規定による障害補償、労災保険法の規定による障害補償給付若しくは 障害給付(略)を受ける権利を有する者」 。
  以上のことから、労災保険の障害等級9級に該当し、一時金の障害補償給付をもらった人 は、重ねて厚生年金から障害手当金を受け取ることはできません。

2021年05月10日