再審査請求における公開審理手続について

 障害年金を請求した結果、納得がいかない場合、「不服申立て」を行うことができます。

 不服申立てとは、具体的には、審査請求(1回目)と再審査請求(2回目)という二段階の手続きを指します。
 通常1回目の審査委請求で原処分が取り消されることはほとんどありません。

 審査請求では社会保険審査官という事務官が独断で審査し決定します。決定書は診断書やカルテ、認定基準及びガイドライン(精神疾患の場合)が引用されています。不支給にした理由そのものは1ページ程度(もしくはそれ以下)です。

 再審査請求では、再度、厚労省年金局事業管理課の事務官や別の医師が見ますので、処分変更の可能性は、審査請求よりは上がります。
 審査をする社会保険審査会では、国会同意人事で任命された複数の元裁判官や医師、社労士などで構成され、合議で裁決されます。

 審査請求では認められなかったことでも、再審査請求では認めるということもあり得ますので、不服申し立てを行った以上は、審査請求だけでなく再審査請求迄行うべきでしょう。

 なお、公開審理への出席の是非については、個別の状況によるため慎重な判断を要します。本稿の記述は筆者個人の見解に基づくものであり、一つの事例として参考程度にお考え下さい。

 

 

 

再審査請求までの流れ 

 原処分後、審査請求を行い、口頭意見陳述実施後決定書が出るまでに8カ月程度です。もちろん、審査請求書の提出日及び口頭意見陳述を行うかどうかにより期間は異なってきます。
 決定書謄本が送付されてきてから、再審査請求を行い公開審理の案内が送付されてくるまで6カ月程度かかります。公開審理の1月前に「公開審理資料」、入館証(QRコード)及び公開審理への出席を問うハガキが同封された資料一式が送付されてきます。
 請求人及び代理人の出席については、公開審理10日前までに提出する必要があります。
 

 公開審理の場所

    厚生労働省社会保険審査会審理室
    東京都港区西新橋1-1-1
    日比谷フォートタワー8階

  >>>日比谷フォートタワー1階フロア―図
  >>>入館証(QRコード) A4(請求任用、代理人用)

 

 

公開審理への出欠について

 同封されたハガキを、公開審理の10日前までに返送しなければなりません。送付後に出欠の予定を変更する場合は、社会保険審査調整室に連絡をする必要があります。
 なお、出席される場合は、審理開始の予定時刻(はがきに記載されています)の15分前までに厚生労働省社会保険審査調整室に到着しておく必要があります。

 公開審理に出席しないことをもって不利に扱われることはありません。


 *本当のところはどうかは不明ですが、逆に、単に出席をしたからといって、有利に働くこともないということです。
 原処分が取り消された事案において、請求人や代理人が公開審理に出席した場合の割合がどの程度か検証できない以上、現時点では何とも言えません。

 


意見書等追加資料の提出について

 送られてきた公開審理資料の冊子につづられている資料以外に、追加で意見書や資料を提出したい場合は、公開審理の期日の10日前までに社会保険審査調整室宛に提出します。もちろん、公開審理の痕に追加で提出することも可能です。

 

公開審理出席者について

 審査会では当事者等が意見を述べることができます。
審査を担当する医員は審査庁及び審査医員2名で、保険者(不服の対象となる原処分を行った期間)の代理人及び社会保険審査会参与(厚生労働大臣から氏名された、被保険者及び受給権者又は事業主の権利を代理する者)が出席しています。

  >>>社会保険審査会審理室図

 

   

公開審理の流れについて

審査長の指揮のもと、下記の流れで審理が進んでいきます。

 (1)出席者の確認
 (2)(再)審査請求の趣旨及び理由の確認 
 (3)保険者の意見の確認 
 (4)審査会委員からの質問 
 (5)社会保険審査会参与からの意見陳述
 (6)請求人・利害関係人又はその代理人からの意見陳述 
*口頭での意見陳述に代えて文書で意見を提出することも可能。
*審査長の許可を得て、事案に関して保険者に質問を発することができます。

 請求人、代理人が出席していない場合、審査は淡々と流れていきます。
 審査長が保険者に「保険者のご意見は提出した通りでよろしいでしょうか?」の問いかけに、保険者代理人が「はい、結構です」と答えておしまいです。
 その後、参与に対して「意見はよろしいでしょうか?」と問いかけますが、ほとんど参与からの意見は出てきません。1件当たり、30秒程度です。まれに、参与から支給を認めては良いのではないかとの意見がだされますが、結果として必ずしも参与の意見が取り上げられ原処分の取り消しへとつながるわけでもありません。

 

公開審理、意見陳述と質問

 公開審理では出席されている審査員や保険者、参与それぞれが机に公開審理資料を積み上げています。事前にどこまでの読み込みがなされているのかは不明です。
 公開審理の場で意見陳述をされている方がいますが、それに対する質問等はほとんどありません。


 保険者への質問はあくまでも原処分のもとになっている保険者意見書に対するもので、公開審理資料に閉じられてある「決定書」(審査官)に対しての質問はできません。

 

 

 精神疾患における公開審理の現状と課題


 1. 審理における構造的矛盾と難易度

 精神疾患のケースは、肢体障害や内部障害と比較して、「認定基準の抽象性」が大きな壁となります。

・評価の不一致: 客観的な数値で測れないため、診断書や申立書の解釈を巡り、双方にとって有利な主張が並行線になりやすい。

・感情的摩擦: 決定に対する納得感の低さが請求人の反発を招き、審理が「主張の応酬」ではなく「感情のガス抜き」の場になってしまいがちである。

・ 論理性の欠如: 双方が自己に都合の良い解釈を優先するため、建設的かつ論理的な議論へ発展させることが極めて困難。

 

 

2. 保険者代理人の鉄壁の防御

 保険者側は圧倒的に「場数」を踏んでおり、以下のようなパターン化された言い回しをひたすら繰り返してきます。

・ 揚げ足取りの回避: 真摯な回答ではなく、いかにして隙を見せないか、揚げ足を取られないかに終始する。

・「総合評価」という防壁: 個別の解釈論争を持ち込んでも、「総合評価」の一言で処理されてしまします。

・ 過去の裁決の無効化: 「個別事案」として切り捨てられ、前例を引用した議論はほとんど通用しません。

 

 

運用面・物理的ハードル

 地方からの参加は現実的に難易度が高く、かつ審理そのものの温度感も独特で高いとは言えません。

・ 地理的制約
 東京での審理に対する参加コスト(時間・労力)が大きく、オンライン対応(Zoom等)の不存在が大きな壁となっています。
 わざわざ片道数時間をかけて、20~30分やり取りをする事に対して価値があるのかどうかです。単に言い足りないから、という感情のはけ口で出席する程度であれば、欠席をした方がましでしょう。

・空虚な雰囲気
 公開審理といえど傍聴席は空席が目立ち、審理自体も緊張感に欠ける「流れ作業」に近い様相を呈しています。1件、1件に人の人生がかかているという緊張感はあまり感じられません。
 もちろん、膨大な量を処理していることが影響しているのかもしれませんが、審理自体、1件30~60秒程度で流されていきます。

 

公開審理に参加する場合

 30分前後という限られた時間の中で結果を出すためには、感情論や一般的な議論を超えた「高等戦術(知識・経験)」が不可欠です。
 むきになって 保険者代理人と「やり合う」のではなく、いかにして審査員に対して「強烈な印象」を残せるかが鍵となる。証拠収集を行い、相手が逃げ場を失うような、極めて客観的かつ論理的な質問を短時間で繰り出していく必要があります。
  議論をして保険者代理人をへこませる事よりも、「審査員の心証をよくするか」その一転にリソースを集中させなければなりません。

 

 

公開審理の傍聴について

 厚生労働省保険局社会保険審査調整室に、傍聴希望の旨連絡をすると傍聴申込書を送ってもらえます(FAXも可)。提出すると2週間程度で入館証(QRコード)が送られてきます。

 

  厚生労働省保険局社会保険審査調整室 
    (代表) 03-5253-1111

 

 当日、13時までに調整室に来るように言われます。審理の開始は13時15分ころです。
 時間が来ると係の方が傍聴席に案内してくれます。
 審理終了の時刻は当日の状況により異なりますが17~18時頃になるようです。 途中で10分程度の休憩がありますが、それ以外の途中退席はできず、最後まで審理を傍聴する必要があります。

 

 

 

   

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