「60歳を過ぎたら、もう障害年金のことは諦めるしかない…」 は大きな間違いです。障害年金は「60歳になったら請求できない」という制度ではありません。年齢を重ねてから体調の変化や新たな持病に気づき、そこから受給へと繋がったケースは決して珍しくはありません。
第二の人生をより穏やかに、安心して過ごすために。障害年金という選択肢が、まだ残されているかもしれません。
以下、60代からでも請求を検討すべきポイントと注意点を、障害年金専門の社労士家が整理してお伝え致します。
障害年金を請求する際は、以下の3要件をすべて満たす必要があります。
①初診日の要件
②保険料納付要件
③障害認定日の要件
① 初診日の要件
国民年金の被保険者であること
・20歳未満及び60歳以上であっても、厚生年金に加入している時は、原則として国民年の被保険者(第2号)です。
・国民年金の被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満であること。
65歳以降に初診日がある場合
・初診日時点で厚生年金の被保険者であれば、障害厚生年金の対象となります。
・特例による任意加入被保険者の場合は、国民年金の第2号被保険者となります。
<特例による任意加入被保険者>
対象となる人
・昭和40年4月1日以前生まれ
・受給資格期間が10年に足りない人
・日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満の人
・日本国籍を有する人であって、日本国内に住所を有しない65歳以上70歳未満の人
② 保険料納付要件
初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。
・合算対象期間は被保険者期間に含まれません
・3号納付特例期間がある時は、3号特例届出年月日が初診日より前にある時は保険料納付済み期間となります。
・全額免除期間を有するときは、申請日が初診日よりも前にある時は保険料納付済み期間となります。
・一部申請免除期間を有する時は、免除期間分以外の納付年月日が初診日より前にある時保険料納付済期間となります。
平成3年4月30日に以前に初診日がある場合
保険料納付要件の「初診日の前々月」の基準が、「初診日がある月前の直近の基準月(1月、4月、7月、10月)の前々月」を基準にして保険料納付要件が判断されます。
直近1年要件
初診日が令和18年3月末日までのときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ納付要件を満たすことになります。
初診日に被保険者でなかったとき
初診日に被保険者でなかった人については、初診日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの1年間に基づいて保険料納付要件の判断が行われます。
*直近1年要件は初診日が65歳以上である場合適用がありませんが、1995年4月から1996年3月までの1年間に初診日アある時に限っては、障害厚生年金については年齢制限が無く直近1年要件が適用されます。
③ 障害認定日の要件
「障害認定日」とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、請求する傷病の初診日
から起算して1年6月を経過した日又は1年6月以内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)をいいます。
障害認定日に障害等級に該当する障害状態になかった場合、65歳に達する日の前日までの間に症状が悪化した時は、その期間内(65歳に達する日の前日までの間)に障害年金の請求をすることができます。
*65歳以降も厚生年金に加入されている方等は65歳以降も事後重症請求が可能な場合もあります。ただし、老齢年金との併給調整あり。
65歳以降でも請求が可能!
基準障害による障害基礎年金
2級に該当しない障害のある人が、国民年金の被保険者期間中または60歳以上65歳未満で国内居住中に新たな傷病(基準傷病)が生じた結果、基準傷病の障害認定日以後65歳に達する日の前日までに、従前の障害と併せて初めて1級又は2級に該当した場合、障害年金の請求が可能です。
メリット
・納付要件、加入要件は基準傷病の初診日で見ます。従前の傷病で納付要件等を満たさなかった方も対象となります。
・従前の傷病が国民年金加入中であっても、基準傷病の初診日が厚生年金加入中得ある場合は、初めて2級となった場合、障害基礎+障害厚生年金が支給されます。
・事後重症請求と違い、65歳を過ぎても請求が可能です。ただし、65歳到達日前までに2つの傷病で初めて1級又は2級になったことを証明する必要があります。
・同一部位の障害が重なってしまった場合でも差引認定がされません。
*初めて1級又は2級の請求は非常に難易度が高いです。AIを利用しても満足のいく回答は返ってきません。
1人でお悩みになられる前に、お近くの障害年金専門の社労士にご相談されることをお勧めいたします。
障害者特例について
60歳以降、厚生年金の被保険者でなく、就労に支障がある程度の障害がある場合は障害者特例を受給できる場合があります。
特別支給の老齢厚生年金を受給できる方が対象です。
男性 昭和36年4月1日以前生まれの方
女性 昭和41年4月1日以前生まれの方
上記の方で、厚生年金の被保険者ではなく、傷病により障害等級3級以上に該当する程度の障害状態にある方が対象です。
障害年金との違い
初診日から1年6か月を経過しているかそれ以前に症状が固定していることが確認できれば、初診日の加入要件、納付要件が満たさない場合でも、障害者特例の受給は可能です。
請求に使う診断書は障害年金請求時と同じものを使用します。認定基準も障害年金と同じです。
法改正により、2014年4月から、障害年金の受給権者は請求時以後ではなく、障害状態にあると判断される時期に遡って障害者特例の支給を受けることができます。
初診日証明について
症状が緩やかに悪化していく内部疾患等については、初診日のカルテが廃棄されていることがほとんどです。
高齢になってからの障害年金請求では、初診証明が取れるかどうかが最大の難関と言えるでしょう。
<対処方法>
・5年以上前のカルテに、本人が申し立てた最初の受診時期が記載されていないか
・第三者証明及びその他客観資料が残されていないか
・社会的治癒は主張できないか 等
平成27年に発出された「初診日通知」により救済される可能性は高くなりましたが、それでも昇進日に関する証拠が集められず断念せざる得ない事例が多いことも事実です。
障害年金の請求を検討されている、60歳以上の方へ
初診日から時間が経過すればするほど、手続きの難易度は高まっていくのが現実です。
しかし、「時間が経ったから不可能」というわけではありません。
制度を正しく理解し、適切な対応をとることで、受給の可能性を切り開けるケースも多く存在します。
もし手続きに行き詰まりを感じているなら、一人で抱え込み、貴重な時間を費やしてしまうのは非常にもったいないことです。
障害年金の手続きでお悩みでしたら、まずは専門の社会保険労務士へご相談ください。豊富な経験と確かな知識で現状を客観的に整理し、受給への最適ルートをご案内いたします。



















