線維筋痛症は、原因不明の全身の疼痛を主な症状として、それ以外に、不眠やうつ病などの精神神経症状、過敏性腸症候群、逆流性食道炎などの自律神経系の症状を含症状とする病気です。線維筋痛症は認定困難事例の1つとされている傷病です。

◇線維筋痛症の臨床症状と重症度分類
| QOL | 疼痛 部位 |
圧痛の 程度 | |
|---|---|---|---|
| ステージⅠ | ACR分布基準の18箇所の圧痛点の内11箇所以上で痛みがあるが、日常生活に重大な影響を及ばさない | 痛みはあるが普通の生活ができる | 圧痛 (4㎏/㎤) |
| ステージⅡ | 広範囲な筋緊張が続き腱付着部炎を 併発する一方、不眠、不安感、うつ 状態が続く。通常の日常生活がやや 困難 |
痛みはあるが普通の生活ができる | 圧痛 (4㎏/㎤) |
| ステージⅢ | 痛みが持続し、爪や髪への刺激、温度・湿度変化など軽微な刺激で激しい痛みが増強する。自力での生活は困難 | 痛みのため普通の生活が困難 | 軽度の圧痛 |
| ステージⅣ |
痛みのため自力では体を動かせず、ほとんど寝たきり状態に陥る。自分の体重による痛みで、長時間同じ姿勢で寝たり座ったりできない | 寝たきりであるが眠れない | 触痛・自発痛 |
| ステージⅤ | 激しい全身の痛みとともに、膀胱や直腸の障害、口の渇き、目の乾燥、膀胱症状など全身に症状が出る。通常の日常生活は不可能 | 寝たきりであるが眠れない | 触痛・自発痛 |
線維筋痛症の重症度は厚生労働省の「重症度分類試案」
| ステージⅠ | 米国リウマチ学会診断基準の18カ所の圧痛点のうち11カ所以上で痛みがあるが、日常生活に重大な影響を及ぼさない。 |
|---|---|
| ステージⅡ | 手足の指など末端部に痛みが広がり、不眠、不安感、うつ状態が続く。日常生活が困難。 |
| ステージⅢ | 激しい痛みが持続し、爪や髪への刺激、温度・湿度変化など軽微な刺激で激しい痛みが全身に広がる。自力での生活は困難。 |
| ステージⅣ | 痛みのため自力で体を動かせず、ほとんど寝たきりの状態に陥る。自分の体重による痛みで、長時間同じ姿勢で寝たり座ったりできない。 |
| ステージⅤ | 激しい全身の痛みとともに、膀胱や直腸の障害、口の渇き、目の乾燥、尿路感染など全身に症状が出る。普通の日常生活は不可能。 |
初診日について
1. 初診日の基本的な考え方
原則: 線維筋痛症等の一連の診療過程において、初めて医師の診療を受けた日を初診日として扱う。
柔軟な判断: 確定診断(病名がついた日)以前であっても、提出書類(診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書など)を総合的に審査し、その受診と線維筋痛症との間に関連性が認められれば、申立通りの初診日を認める。
2. 初診日として認められるための「3つの要件」
以下の①〜③のすべてに該当する場合、申立初診日を障害年金の初診日として取り扱うことができます。
① 症状の合致: 初診時の医療機関の資料(診断書等)から、その時点で当該疾患特有の症状(線維筋痛症であれば「身体の広範囲に及ぶ慢性疼痛」など)で受診していたと認められること。
② 確定診断医の追認: 確定診断を行った医師の診断書に、その申立初診日が「初めて診療を受けた日」として記載されていること。
③ 未継続期間の申立て: 発症直後に確定診断がされなかった理由が申し立てられていること。 受診していない期間がある場合、症状が継続していた旨の申立てが必要。 未継続期間が6ヶ月を超える場合は、診断書等の医療用書類の記載内容から症状の継続が認められる必要がある。
3. 客観的証拠がない場合の救済措置
初診日を直接証明する書類(カルテ等)がない場合でも、平成27年の通知に基づき、第三者証明(民生委員や隣人等による証明)や参考資料を活用して審査を行う。
線維筋痛症のように「診断名がつくまでに時間がかかる」「複数の診療科を転々とする」疾患であっても、初期の段階で「広範囲の痛み」を訴えて受診していれば、そこを初診日として認めやすくなるという基準が示されています。 特に、未継続期間(受診の中断)が6ヶ月を超える場合は、本人の申立てだけでなく「医師による症状継続の裏付け」が重視される点が、実務上の留意点となります。
診断書について
1.「肢体の障害用」診断書を使用
現状、線維筋痛症は「肢体の障害」の診断書(様式第120号の3)で提出することが一般的です。
線維筋痛症の審査において重要視されているのが、「重症度分類」と診断書「日常生活活動動作」、「補助用具使用状況」です。
2.「関節可動域」「筋力」について
主治医が整形外科以外の場合、関節可動域の測定をしてもらえないことがあります。この場合には無記入で提出しても構いません。この場合、可能であれば、筋力のみでも記入してもらうようにしましょう。それも難しい場合は無記入でも等級の認定自体は行われます。
4.日常生活における動作について
診断書「日常生活における動作」については、補装具を含む補助用具を使用しない状態で判断してもらいます(例:壁伝い歩き=補助用具使用となります)。
3.重症度について
診断書⑨欄に、線維筋痛症の重症度を示す5つのステージのうち、どのステージに該当するか記載してもらう必要があります。
ステージの記載がない場合、年金事務所の窓口で受け取ってもらえなかったり、提出した診断書が年金機構から後日、差し戻されたりします。
厚労省認定事例より
| 障害等級 | 診断書⑨欄記入例 |
|---|---|
| 1級 | ステロイド、ボルタレン、リリカ、ガバペン、各種抗うつ薬など様々な薬物治療を試みるも、痛みによる筋力低下とADL障害が急速に進み、終日車椅子生活となり、全介助状態となった。現在、リウマチ科とペインクリニックにてリリカ、非麻薬性オピオイド系薬剤などを使用中。線維筋痛症の重症度分類試案ではステージⅤに該当する。 |
| 2級 | ルボックス、リリカ、トフラニール、ボルタレンSR、ノイロトロピンなどを処方するも、著効する薬がなく、用量調整や投与内容を調整している。激しい疼痛が襲ってきたときは、トラムセットなどの非麻薬性オピオイド系薬剤で対応している。線維筋痛症の重症度分類試案ではステージⅢに該当する。 |
| 3級 | 疼痛に対して、リリカ、トレドミン、デパス、ロキソニンの内服やノイロトロピンの 注射で治療しているが、効果は弱く、疼痛の症状が持続している。不眠に対して眠剤 を常用している。線維筋痛症の重症度分類試案ではステージⅡに該当する。 |
厚労省認定事例から見る認定要件
| 1級 | 障害の程度は、全身の激しい痛みが酷く、食事、排泄など日常生活動作のすべてにおいて介助が必要となっており、常時車椅子を使用している。また、線維筋痛症の重症度分類試案では「ステージⅤ」の評価であることから「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」に該当すると認められるので、1級9号と認定される。 |
|---|---|
| 2級 | 障害の程度は、激しい痛みが持続しているため、日常生活動作のほとんどが一人でできてもやや不自由な場合、又は一人でできるが非常に不自由な場合となっており、線維筋痛症の重症度分類試案の「ステージⅢ」と評価されているが、全身に痛みが広がっていることから、「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」に該当すると認められるので、2級15号と認定される。
|
| 3級 | 障害の程度は、腰臀部、両側肩甲帯部、一下肢に激しい痛みが出現しており、日常生活動作のほとんどが一人でできてもやや不自由な場合となっている。また、線維筋痛症の重症度分類試案の「ステージⅡ」と評価されていることから、「労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」に該当すると認められるので、3級12号と認定される。 |
以上、線維筋痛症は認定基準が厳しく、書類の不備で不支給となるケースも少なくありません。まずは、現在の主治医が「障害年金の書類作成(特に重症度の判定)」に協力的かどうかを確認することから始めましょう。







